
BtoBマーケティングの進め方や戦略づくりで悩んでいる担当者の方に向けて、この記事では、BtoCとの違いやリード獲得から受注に至るまでの実践的なステップを具体的にお伝えします。
最後までお読みいただくと、自社で明日から取り組むべきマーケティング施策の優先順位を迷わず判断できるようになります。
- 目次
BtoBマーケティングとは?

BtoBマーケティングとは、企業間取引において自社の商品やサービスを他の企業に選んでもらうための活動全般を指します。
マーケティング戦略を立てる上で、一般消費者を対象とするBtoCマーケティングとの違いを正しく認識することが重要です。この違いを理解せずに施策を進めると、ターゲットに響かないメッセージを発信してしまう恐れがあります。
両者には主にターゲット層や意思決定のプロセスにおいて大きな違いが存在します。具体的な違いについて、次の表に整理しました。
この表からもわかるように、企業向けのアプローチと個人向けのアプローチでは前提となるルールが異なります。ここからは、それぞれの違いについてさらに詳しく解説していきます。
法人対個人の取引モデルの違いを理解する
BtoBとBtoCの最も分かりやすい違いは、誰に対して商品を売るかという取引モデルにあります。
BtoBは「Business to Business」の略であり、企業が企業に対して価値を提供します。例えば、業務効率化のためのソフトウェアや、オフィス向けのコピー機などが該当します。
対してBtoCは「Business to Consumer」の略で、企業が一般の消費者に向けて商品を提供します。スーパーマーケットで販売される食品や、スマートフォン向けのゲームアプリなどがその代表例と言えます。
法人は事業を成長させたり課題を解決したりするために購買を行うため、ビジネスの文脈に沿った提案が求められます。つまり、相手が会社という組織であることを前提にコミュニケーションを設計する必要があるということです。
購買の意思決定プロセスが合理的で複数人が関与する
企業が新しいサービスを導入する際、担当者一人の独断で決まることはほとんどありません。
現場の担当者が情報収集を行い、課長が実務への影響を確認し、最終的に部長や経営層が決裁を下すというように、複数の人物が関与します。そのため、それぞれの立場の人を納得させるだけの論理的な理由が必要になります。
例えば、新しい業務システムを導入する場合を考えてみましょう。現場の担当者は「使いやすさ」を重視しますが、経営層は「費用対効果」や「セキュリティの安全性」を厳しくチェックします。
また、客観的なデータや実績に基づく合理的な判断が行われるのはもちろんですが、BtoB取引においては企業=ブランドの信用・信頼が極めて重要です。近年では規模や歴史だけでなく「その企業ならではの社会的な存在意義を掲げ、実際に行動に移せているか」が見られる時代になっています。そのためマーケティング担当者は、それぞれの決裁者が抱く疑問に先回りして答えるコンテンツを用意しておかなければなりません。
顧客との関係構築が長期にわたる
BtoBの取引では、一度契約を結んだらそれで終わりではなく、長く関係が続くケースが一般的です。
システムの導入後も保守サポートが必要になったり、毎月継続して利用料を支払うサブスクリプション型のサービスであったりするためです。契約後のアフターフォローが手厚い企業ほど、顧客からの信頼を得て追加の発注につながりやすくなります。
また、BtoBでは取引額が高額になるため、一度取引ができるようになった相手とは長年付き合ってもらわないと元が取れません。そのためには自社をブランド化し、取引先にファンになってもらう必要があります。マーケティングが自分たちの価値を伝えるものであるのに対して、ブランディングは相手に自分の価値を見出してもらう努力と言えます。
【関連記事】BtoBブランディングとは | 大伸社コミュニケーションデザイン
購買単価が高く検討期間が長い
法人向けの商材は、数百万から数千万円といった高額な予算が動くことが珍しくありません。
金額が大きいほど失敗したときのリスクが高まるため、企業は複数の他社製品と比較検討を重ねて慎重に決断します。情報収集を始めてから実際に契約書にハンコが押されるまで、半年から一年以上かかることもよくあります。
この長い検討期間の間、顧客が他社に流れてしまわないように、適切なタイミングで有益な情報を提供し続ける必要があります。だからこそ、単発の広告を打って終わりではなく、中長期的な視点で顧客を育成する仕組みづくりが求められています。
また、消費者向けの商品と比べて、BtoB企業は対象となる顧客が数千から数万件と絞られるという特徴があります。そのため、一般的な認知度を上げるよりも、絞られたターゲットに特化したマーケティングやブランディングを行うことが重要です。
なぜ今BtoBマーケティングが重要視されるのか
近年、多くの企業がBtoBマーケティングの強化に乗り出しています。
その背景には、社会全体のデジタル化が進み、企業におけるモノの買い方が根本的に変化したという事実があります。従来の営業手法だけでは売上を伸ばすことが難しくなってきているのです。
具体的にどのような変化が起きているのかを踏まえ、なぜBtoB企業がマーケティングに注力すべきなのか、三つの視点から詳しく見ていきましょう。
顧客の情報収集方法がデジタル化した
最も大きな理由は、法人顧客がインターネットを活用して自ら情報を探すようになったことです。
経済産業省が発表した「令和5年度電子商取引に関する市場調査」によると、2023年のBtoB-EC市場規模(企業間電子商取引)は約465兆円に達しており、企業間の取引においてもデジタル化が急速に進んでいることが報告されています。
このデータが示す通り、企業の担当者は課題を感じたとき、すぐに営業担当者を呼ぶのではなく、まずは検索エンジンで解決策を調べるようになりました。
自社のWebサイトに役立つ情報が掲載されていなければ、そもそも顧客の検討候補にすら入ることができません。そのため、オンライン上で見つけてもらうための活動が急務となっています。
参考:令和5年度電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました (METI/経済産業省)
従来の営業手法だけでは非効率になった
テレアポや飛び込み営業といった従来のアプローチ方法は、効率が悪化しています。
リモートワークを導入する企業が増えたことで、オフィスに電話をかけても担当者が不在のケースが多くなりました。また、突然の訪問や売り込みを嫌う企業も増えており、関係性のない状態からの営業活動は成果につながりにくくなっています。
例えば、100件の電話をかけて1件アポイントが取れるかどうかという手法は、営業担当者の負担が大きいだけでなく、人件費という観点からも非効率です。マーケティングの仕組みを活用すれば、あらかじめ自社に興味を持っている見込み客を集めることができるため、営業活動の生産性を大幅に向上させることが可能です。
営業担当者に会う前に購買プロセスの大半が終わっている
現代のBtoB取引においては、顧客が営業担当者に接触する前に、すでに購買の意思決定の大部分を終えていると言われています。
実際に、BtoBの購買プロセスのうち57%が営業担当者に会う前に完了していると言われています。これは、ユーザー企業の購買担当者がそれまでに様々な情報を収集し、複数の会社を比較検討した上で声をかけているということです。まずは比較検討対象に挙がらないと話にならないため、マーケティングに加えて自社をブランド化する活動も重要になります。
顧客はWebサイトの製品情報、導入事例、比較記事などを読み込み、あらかじめいくつかの候補に絞り込んだ上で問い合わせを行います。つまり、問い合わせが来た段階で、すでに勝負の半分以上は決まっているということです。
この状況で他社に競り勝つためには、営業担当者が介入する前の段階で、どれだけ良質な情報を提供できるかが鍵を握ります。マーケティング部門がオンライン上で顧客の疑問を解消し、自社の強みを理解してもらうことで、営業部門はより確度の高い商談に専念できるようになります。
参考:
【書籍】The Challenger Customer: Selling to the Hidden Influencer Who Can Multiply Your Results
【著者】Brent Adamson, Matthew Dixon, Pat Spenner, Nick Toman
【出版社】Portfolio / Penguin
【刊行】2015年
BtoBマーケティング成功への5ステップ

BtoBマーケティングというと、すぐにMA(マーケティングオートメーション)ツールの導入や、リード獲得・育成・スコアリングといった「仕組み化」の議論になることがあります。しかし、これらは本来、戦略の最終工程にあたる「実行手段」であって、成功の本質ではありません。
むしろ、土台となる思想設計を欠いたままMA的な施策に着手することは、見込み客に「ピントのずれた情報」を機械的に届け続けることに等しく、ブランドを毀損する最大の要因になり得ます。今の時代、設計されていない情報発信は、もはや無駄な情報発信として企業の信頼を削り取る存在になっているということを、まず前提として共有したいと考えます。
BtoBマーケティングを成功に導くステップは、以下の5つを順に深く問い直し、それらを統合してはじめてマーケティングプランへ落とし込むという順序を踏むことにあります。
この5つを精緻に積み上げた上で、はじめて「誰に・どのタイミングで・どんな思いを抱えた人に・何を・どう伝えるか」というマーケティングプランが成り立ちます。リード獲得やナーチャリングといった戦術論は、その後でようやく意味を持つのです。
①ペルソナ「自社が大切にすべき顧客は誰か」
最初に問うべきは、「自社が大切にすべき顧客は誰か」です。ここを曖昧にしたまま、ホワイトペーパーを量産したり広告を打ったりしても、誰の心にも刺さらない情報が世の中にばら撒かれるだけになります。
ペルソナ設計とは、単に業種・規模・役職を切り分ける属性情報の整理ではありません。その人がどのような責任を負い、どんなプレッシャーの中で意思決定をし、何を恐れ、何に価値を感じているのか。一人の人物として解像度高く描き切ることです。
ここが曖昧なまま「とにかくリードを集めよう」と動き出した瞬間、集まった連絡先の大半は自社にとって本来アプローチすべきでない層になり、営業現場の疲弊と歩留まりの悪化を招きます。
②ジャーニー「どのような購入プロセスを辿るか」
次に問うべきは、その顧客がどのような購買プロセスを辿るのかという点です。
世の中の多くの解説では、「獲得→育成→選別→商談→カスタマーサクセス」という直線的なファネルが描かれます。しかしBtoBの実際の購買は、複数の意思決定者が関わり、検討と中断を繰り返し、社内合意形成に長い時間を要する非線形なプロセスです。
「メルマガを何通送ったから検討フェーズに進むはず」「資料を3回ダウンロードしたから有望リード」といったスコアリング前提の発想は、現場のリアルな意思決定構造を無視した機械的な近似でしかありません。
顧客が今どの段階にいて、隣にどんな登場人物がいて、どんな社内のハードルに直面しているのか ― そこまで踏み込んで描けて初めて、「いつ何を渡すべきか」が見えてきます。
③CEP(カテゴリーエントリーポイント) 「どんな時に商材を欲しいと思うか」
BtoBにおいて見落とされがちなのが、CEP ― すなわち「顧客がどんな状況・文脈に置かれた時に、自社のカテゴリを想起するか」という観点です。
人がモノを買う瞬間は、必ず何かしらのトリガー(課題発生・組織変更など)を伴います。自社のカテゴリ・ブランドが、その「想起の瞬間」に呼び出される位置取りを獲得できているかこそが、商談機会そのものの量を決めます。
ここを設計せずに、「とりあえずメルマガを定期配信して接点を維持する」というMA的なアプローチを取っても、想起される文脈を持たないブランドは、いざ顧客が動き出した瞬間に候補にすら入りません。情報発信は接点維持のためではなく、特定のCEPに紐づいた記憶構造を作り込むために行うべきものです。
④USP ― 「ペルソナ・ジャーニー・CEPを踏まえ、自社商品の独自価値は何か」
USP(独自の売り)というと、商品スペックの優位性として語られがちですが、それは本質を取り違えた使い方です。
本来USPとは、①どんな顧客が、②どんな購買プロセスを辿り、③どんな想起文脈で自社カテゴリを思い浮かべるか ― この3つを踏まえた上で、「その人にとってだけ刺さる独自価値」を抽出する作業です。
スペック比較表で勝てる勝てないという議論は、顧客が自社を想起してくれた後の最終局面の話に過ぎません。その前段の「なぜあなたに相談したのか」という選定理由を構造化できていない企業は、結局のところ価格と納期で値踏みされる消耗戦に巻き込まれます。
⑤ナラティブストーリ「USPは顧客の心に届く形に変換されているか」
最後の工程が、USPを顧客の言葉と感情に響くナラティブ(物語)に翻訳する作業です。
「弊社の強みは〇〇です」と機能ベースで列挙された情報は、顧客にとっては自分事化しづらく、記憶にも残りません。一方で、ペルソナが日々抱える葛藤や理想と地続きで語られる物語は、たとえ同じ事実を伝えていても、まったく異なる説得力を持ちます。
ここを設計せずに、テンプレ化したコンテンツを大量配信する運用に走れば、それは顧客にとっては単なるノイズであり、ブランドへの不信感を蓄積させる行為に他なりません。
5つのステップを踏まえてはじめて「マーケティングプラン」になる
ペルソナ・ジャーニー・CEP・USP・ナラティブストーリ ― この5つが揃って、ようやく実行プランを描く準備が整います。
問うべきは、
- 誰に(ペルソナ)
- どのタイミングで(ジャーニー上の位置・CEPの想起文脈)
- どんな思いを抱えた状態の人に(感情の解像度)
- 何を(USPを翻訳したナラティブ)
- どう伝えるか(チャネル・表現)
そして、その場所はオフライン(イベント・展示会・セミナー)か、オンライン(検索・SNS広告・メールマガジン・オウンドメディア)か。それぞれが、初めての出会いから信頼形成、そしてファン化に至るまでの情報掲示プロセスと発信内容、伝え方として精査・整理されているか。そして実行段階で破綻なく運用できているか。ここまで設計されてはじめて、マーケティングプランと呼べる代物になります。
逆に言えば、ここを飛ばして「MAを導入したのでナーチャリングを開始します」「リードスコアを設定したので有望客を見つけます」と進めることは、戦略不在のまま戦術を回している状態であり、得られるのは大量の無反応リードと、現場の疲弊と、ブランド価値の漸減です。
BtoBマーケティングに取り組むのであれば、MA的な仕組みの前に、自社が①〜⑤のどこまで言語化できているかを冷静に棚卸しすることから始めるべきだと考えます。
リードジェネレーションの具体的な手法

見込み客を獲得するための手法にはさまざまな種類があり、ターゲットの層や予算に応じて使い分けることが求められます。
待っているだけでは見込み客は集まりません。企業が抱える課題に対して、自社が解決策を持っていることを広く知らせる必要があります。
代表的なリードジェネレーションの手法と、それぞれの特徴を比較表にまとめました。
ここからは、それぞれの手法が具体的にどのようなものかを解説していきます。
SEOで検索エンジンから潜在顧客を集める
SEO(検索エンジン最適化)は、Googleなどの検索結果で自社のWebサイトを上位に表示させるための施策です。
例えば、勤怠管理システムを販売している企業であれば、「残業 減らしかた」や「勤怠管理 クラウド 比較」といったキーワードで検索されたときに、自社の記事が目にとまるようにします。
検索を通じて自ら情報を見つけに来るユーザーは、すでに何らかの課題を抱えているため、将来の顧客になる可能性が高いと言えます。
記事の作成には時間がかかりますが、一度上位に表示されれば、広告費をかけずに継続的なアクセスを見込める強力な集客資産となります。
Web広告でターゲット企業に直接アプローチする
Web広告は、検索エンジンの検索結果画面や、ビジネス系のニュースサイトなどに自社の広告を表示させる手法です。
SEOとは異なり、費用を支払えばすぐに広告を掲載できるため、即効性があるという強みがあります。BtoBマーケティングでは、特定のキーワードで検索した人に広告を出す「リスティング広告」や、SNSを利用した広告がよく活用されます。
特にFacebook広告などは、ユーザーの勤務先や役職などを指定して配信できるため、自社が狙いたい企業の決裁者にピンポイントでアプローチすることが可能です。
予算の調整がしやすいため、まずは少額からテストを行い、効果の高い広告に投資を集中させるといった柔軟な運用が求められます。
ホワイトペーパーで質の高いリード情報を得る
ホワイトペーパーとは、ターゲットが抱える課題の解決策や業界の調査レポートなどをまとめたお役立ち資料のことです。
Webサイト上で「この資料を無料でダウンロードする」というボタンを設置し、その代わりに会社名やメールアドレスを入力してもらう仕組みを作ります。
例えば、「失敗しない業務システム選びのポイント5選」といった資料を用意すれば、システム導入を検討している担当者の情報を効率的に集めることができます。
自社の専門性をアピールできるため、見込み客に対して信頼感を与えつつリードを獲得できる有効な手段です。
展示会やセミナーで名刺情報を獲得する
オンラインでの情報収集が主流になったとはいえ、リアルな場での接点も依然として重要です。
業界の展示会に出展すれば、数日間で数百枚から数千枚のまとまった名刺を獲得することができます。また、自社でテーマを設定して開催するセミナー(ウェビナー)も、参加者の名刺情報を得るための有効な手段となります。
画面越しや文章だけでは伝えきれない製品の操作感や、担当者の熱量を直接伝えられるというメリットがあります。
展示会で集めた名刺はそのまま放置せず、すぐにお礼のメールを送り、次のリードナーチャリングのステップへとつなげることが大切です。
リードナーチャリングの具体的な手法

獲得した見込み客に対して、適切なタイミングで適切な情報を提供し、購買意欲を高めていく手法について解説します。
検討期間が長いBtoB取引において、見込み客との接点を保ち続けることは容易ではありません。手作業で全員に連絡を取るのは現実的ではないため、デジタルツールを活用した効率的なアプローチが不可欠です。いくつかの手法を組み合わせて活用することで、顧客が自然と自社製品に興味を持つ状態を作り出します。
メルマガで定期的に有益な情報を提供する
メールマガジンは、保有している見込み客のリストに対して一斉に情報を届ける基本的な手法です。
売り込みのメールばかりを送るのではなく、顧客の仕事に役立つノウハウや業界のトレンド情報などを定期的に配信することが成功のコツです。
月に数回、有益な情報を提供し続けることで、「あの会社はいつも良い情報をくれる」という好意的な印象を持ってもらえます。顧客の頭の中に自社の名前を記憶させておくことで、いざシステムやサービスの導入が必要になった際に、最初の相談相手として選ばれる確率が格段に上がります。
MAツールで顧客行動に合わせたアプローチを自動化する
MA(マーケティングオートメーション)ツールは、マーケティング業務を自動化し、効率化するためのシステムです。このツールを使うと、見込み客が自社のWebサイトのどのページをいつ見たか、メールを開封したかといった行動履歴を追跡できるようになります。
例えば、「料金プランのページを3回見た顧客にだけ、特別な活用事例のメールを自動で送信する」といった設定が可能です。一人ひとりの興味の度合いに合わせたシナリオを組むことができるため、適切なタイミングでアプローチを行い、商談の機会を逃さない仕組みを構築できます。
インサイドセールスが関係を構築する
インサイドセールスとは、オフィスにいながら電話やメール、Web会議システムなどを使って顧客とコミュニケーションを取る内勤営業のことです。マーケティング施策で集めた見込み客に対して、まずはインサイドセールスが連絡を取り、現在の課題や検討状況をヒアリングします。
「すぐに具体的な提案が欲しい」という顧客であれば外勤の営業担当者に引き継ぎますし、「まだ情報収集の段階」であれば、役に立つ資料を案内して育成を続けます。デジタルな接点だけでは拾いきれない顧客の細かいニュアンスや温度感を人間が直接確認することで、施策全体の精度を高める役割を担います。
オウンドメディアのコンテンツで信頼性を高める
オウンドメディアとは、自社で運営するブログやWebマガジンなどの情報発信メディアのことです。製品の仕様だけでなく、業界が直面している課題に対する見解や、自社ならではの専門的な知見を記事として公開します。
見込み客は検討を進める過程で、様々な疑問を抱きます。オウンドメディアにその疑問に答える記事が網羅されていれば、顧客は自社メディアの中で情報収集を完結させることができます。
質の高いコンテンツを蓄積していくことで、見込み客からの信頼が厚くなり、他社に対する競争優位性を築くことにつながります。コンテンツを作成する際は、顧客は製品を購入するのではなく、自分の「用事」を片づけるために製品を「雇う」と考えるジョブ理論の視点が役立ちます。企業は自社製品の機能や性能ばかりを考えてしまいがちですが、顧客の目的に焦点を当てた情報を発信することが重要です。
BtoBマーケティングを成功させるための3つのポイント

BtoBマーケティングは、手法を知っているだけでは成果を出すことができません。戦略の土台となる考え方を整える必要があります。多くの企業が直面する課題は、ツールの導入そのものが目的化してしまい、顧客不在の施策になってしまうことです。
施策を進める上で陥りやすい失敗と、それを回避して成功に導くためのポイントを意識して体制を整えることで、施策の効果を最大化することができます。
顧客の課題を深く理解しペルソナを明確にする
マーケティングの第一歩は、自分たちが誰のどのような課題を解決するのかを明確に定めることです。
ペルソナとは、自社にとって最も理想的な顧客像を具体的に設定したものです。単に「製造業の企業」とするのではなく、「従業員数300名規模の製造業で、生産管理を担当している40代の課長。人手不足による残業時間の増加に悩んでいる」といったレベルまで具体化します。
このように名前、年齢、性別、居住地、職業、収入などの属性をはじめ、趣味や習慣、現在の課題などリアルな人間像を設定することで、顧客の視点で考えられるようになります。
対象を絞り込むことで、Webサイトのキャッチコピーやホワイトペーパーの企画がブレなくなり、本当に届けたい相手の心に刺さるメッセージを作ることができます。
さらに、対象とするペルソナになりきり、顧客が商品を購入する前から購入後までに経験する活動を洗い出し、時間軸に沿って並べる「カスタマージャーニーマップ」を作成することも有効です。
社内で顧客の解像度を統一することが、すべての施策の土台となります。
【関連記事】カスタマージャーニーの作り方 | 大伸社コミュニケーションデザイン
【関連記事】ブランディングにおけるカスタマージャーニーマップの活用法 | 大伸社コミュニケーションデザイン
マーケティング部門と営業部門が密に連携する
BtoBマーケティングにおいて、部門間の壁は最大の障壁となります。
マーケティング部門が「リードを渡したのに営業が対応してくれない」と不満を持ち、営業部門が「マーケティングが持ってくるリードは質が悪くて使えない」と文句を言うケースは非常に多く見られます。
これを防ぐためには、「どのような状態のリードを営業に渡すのか」という明確な基準(リードクオリフィケーションの条件)を両部門で話し合って決めることが重要です。
また、営業担当者が顧客から聞いた生の声をマーケティング施策にフィードバックする仕組みを作ることで、より現場の課題に寄り添ったコンテンツを生み出すことができます。
BtoBビジネスでは対象となる顧客数が限られているため、従業員一人ひとりが顧客と接するブランド・タッチポイントとして大きなウエイトを占めます。そのため、マーケティング部門だけでなく営業部門も含めた社内全体で、顧客への意識や普段の行動を統一する取り組み(インナー・ブランディング)が欠かせません。
【関連記事】インナーブランディング、本当に社員の心に響いていますか? – 社内を動かす隠れた戦略とは? | 大伸社コミュニケーションデザイン
施策の目的を明確にし適切なツールを選定する
MAツールやCRM(顧客関係管理)システムなど、世の中には便利なマーケティングツールがあふれていますが、選び方には注意が必要です。
「他社が使っているから」「多機能で便利そうだから」という理由で高額なツールを導入しても、使いこなせずに放置されてしまうことがよくあります。
まずは自社の課題が「見込み客の数が足りないこと」なのか、「商談の成功率が低いこと」なのかを明確に特定します。
その課題を解決するために最低限必要な機能を持ったツールから小さく始め、組織の成熟度に合わせて少しずつステップアップしていく方法が確実です。
BtoBマーケティングの成功事例

理論だけでなく、実際にBtoBマーケティングを仕組み化して大きな成果を上げている企業の事例を知ることで、自社での取り組みのイメージが湧きやすくなります。
ここでは、BtoBマーケティングにおける企業の事例をいくつか紹介します。
NTTドコモ様「OREX®」サービスブランディング
通信事業者向けOpen RAN事業のブランド開発事例です。複雑な技術サービスに対し、ネーミング・ロゴ・コンセプト設計を一貫して行い、グローバル展示会「MWC Barcelona」での出展まで連動させています。専門性の高いBtoB領域でも、明確なブランドストーリーと統一されたビジュアルが、海外顧客への認知獲得と商談創出に寄与した好例といえます。
参考:サービスブランディング「OREX®」 | 大伸社コミュニケーションデザイン
参考:ブランド開発「OREX」 | 大伸社コミュニケーションデザイン
参考:展示会出展「MWC Barcelona 2023」 | 大伸社コミュニケーションデザイン
日立産業制御ソリューションズ様「安否の番人」トータルプロモーション
法人向け安否確認サービスのWeb・CM動画を含む統合的な販促支援事例です。BtoB SaaSにおいて、コンセプト設計から映像・UIデザインまでを一貫設計することで、機能訴求に偏りがちな従来手法を脱却しています。情緒的な訴求と機能理解を両立させ、意思決定者への記憶定着とリード獲得を狙った点が参考になります。
参考:安否確認サービス「安否の番人」トータルプロモーション WEB・CM動画制作 | 大伸社コミュニケーションデザイン
三菱マテリアル様「YOUR GLOBAL CRAFTSMAN STUDIO」
素材メーカーのグローバルブランド開発事例です。MVV策定からWebサイト・ロゴまで一気通貫で構築し、BtoBでは見落とされがちな企業ブランドの世界観統一を実現しています。コモディティ化しやすい素材・部品領域でも、明確なブランドメッセージが海外バイヤーや代理店との取引拡大に効くことを示した参考事例といえます。
参考:事例紹介 三菱マテリアル株式会社様 ブランド開発 | 大伸社コミュニケーションデザイン
参考:事例紹介 三菱マテリアル株式会社様 Webサイト制作 | 大伸社コミュニケーションデザイン
まとめ:BtoBマーケティングで事業を成長させるために
この記事の要点をまとめます。
- BtoBマーケティングは複数人が関与し合理的な判断が行われる
- デジタル時代では顧客が自ら情報収集するためWeb上の接点作りが必須である
- 獲得、育成、選別という段階的なステップを踏んで営業に連携する
- マーケティング部門と営業部門が共通の目標を持って密に連携する
BtoBマーケティングは一朝一夕で成果が出るものではありませんが、顧客視点に立って地道に仕組みを構築すれば、企業の売上を支える強力な資産となります。
