
頭の中にある理想のアウトプットを、
共に見つめ、導き、具現化し続けてくれるのがDCD
株式会社NTTドコモ
担当課長 森晴基 様(中央)
(現在 株式会社OREX SAI Senior Manager)
株式会社大伸社コミュニケーションデザイン
プロデューサー 大庭勇樹(左)
プランナー 金子大貴(右)
提案を通してDCDの「クライアントと真摯に向き合う姿勢」を実感
本プロジェクトは、2022年の8月に行われた海外向け新事業のブランド構築に関するコンペティションからスタートしました。当時を振り返ると、その際どのような期待をパートナー企業に求められていたのでしょうか?
森様
本プロジェクトは、新事業のビジョン、ブランドロゴ、メッセージの策定がメインスコープでしたので、自分たちの想いを深く汲み取りつつ、新しい視点を与えてくれるパートナーを理想としていました。そのため、付き合いが長い広告代理店だけではなく、異なる視点を持ったデザイン会社とも話をしてみたいと考え、DCDにもコンペ参加の依頼をさせていただきました。
その後、DCDの提案を受けて、どのように感じられましたか?
森様
初めに感じたのは、理解力の深さです。提案いただいたデザインに、私たちの考えや想いがしっかりと反映されていると感じました。今回の新サービスの根幹となる、OpenRANという新しい通信技術そのものが一般の方にはなじみのないものですが、そこもご理解いただけていましたね。
加えて驚いたのは、追加の提案部分ですね。現状の名称だと海外の方から見て違和感があることを指摘いただき、新たなブランド名を提案してくれました。
ただ、各社の公平性を保つために追加提案の内容は評価点に含めず、必須条件であった提案物に対して評価した結果、DCDを選ばせていただきました。私たちが求めているものを高い完成度で出していただき、加えて私たちを想っての追加提案でしたので、プレゼントのような気持ちで受け取ったのを覚えています。
改めて振り返ると、クライアントに対して真摯に向き合う姿勢を、提案を通じて今までになく感じられたことが大きかったのだと思います。
金子(DCD)
ご提案の前に森様にヒアリングをさせていただく場面がありました。そこでサービスの普及を通じて「世界の通信格差を解消したい。それによって、経済や教育など様々な格差をなくしていける。」という想いをお聞きし、その理想像に強く共感し、単純なコンペの勝ち負けよりも「本当に相手のためになるもの」を提案したいと思ったことを覚えています。追加提案であるネーミング変更は、これまで森様が積み重ねてきたものをある意味否定するものだったため、最後まで迷いましたが、やはりお伝えしたいと考えご提案させていただきました。
森様
追加提案も含めて感じたのは、クライアントの「真意」を汲み取るのがとても上手だということです。提案の中で紹介いただいた実績には、ただできることだけではなく、今後私たちがやろうとしていることを想定したものが入っていました。そういった仮説を立てて、色々な選択肢をクライアントによって使い分けているのがDCDの強みなのだと思います。

DCDとは、打ち返しを楽しみながら「共に創り出す」ことができる
ブランドの構築から始まり、ブランドのお披露目、プロモーション、そして新会社の設立など、様々な取り組みを支援させていただき、今年で3年目となります。長くパートナーとしてお付き合いさせていただいている要因はどんなところにあるのでしょうか?
森様
最も大きな点は、各取り組みにおいて、早い段階で私たちとDCDで「最終的な理想像」をぼんやりと共有できていることでしょうか。もちろん、最初はおぼろげなのですが、会話ややり取りを重ねるたびにその理想像へ導いていただいている感覚があります。同じ方向を見ているので、私が「もっとこうしたい」と思い立ったときに細かく説明せずとも理解してくれ、とても進めやすいですね。そういった人を導くプロセスやテクニックを数多く持っており、クライアントの特性に合わせた進め方をしてくださるのが良いのだと思います。
大庭(DCD)
特に森様は、社内で多くの業務を掛け持ちされていたので、常に森様の状況などを鑑みてその時その時に最適な進め方ができるように心がけていました。
森様
クライアントの潜在的な思考や状況も理解してくださるのは、とてもありがたかったです。 過去には、私の言ったことを忠実にそのまま再現してくれる制作会社は何社かありましたが、今回は「共に創っている」という感覚が強くありました。私がこうしたい、と言ったことに対して、受け止めた上で最適なものを提案いただけるのは、とても嬉しかったですね。
金子(DCD)
森様は私たちが提案をする際、毎回どのような意図が込められているのかを必ず聞いてくださいます。私自身もアウトプットの意味だけでなく、そこに至ったプロセスをお話しするようにしていたので、どこまで考え方が一致しているのかが明らかになり、ブラッシュアップしやすかったと感じています。

森様
私は普段から何かアウトプットをいただいた時に、必ず見えないところにも色々なスタッフの方がいて作業をしてくれている、というのは意識するようにしています。今まで数多くのデザイナーの方と仕事をしてきましたし、私自身自分で何かをつくることは好きなので、その分生み出すことの大変さはなんとなく理解できます。だからこそ、受け取ったものには真摯に向き合うようにしていますね。
大庭(DCD)
それはやりとりをする中でもとても感じていました。森様が感謝の気持ちを持って接してくださるので、我々も期待を超える提案をしたい、と強く思いながら取り組んでいました。
発散させたアイデアをうまく着地させたアウトプット
全体のプロジェクトを通して、特に印象的だった出来事はなんでしょうか?
森様
一番印象的だったのは、サービス名である「OREX®」のマークを決めた時でしょうか。 当初は8色のブロックではなく、2色のブロックでした。最初のデザインもとても好きでしたが、もう少し多様性やOREX®というサービスの本質でもある柔軟性を採り入れたデザインにできるのではないかというインスピレーションがありました。その考えに対し、現在の8色のブロックのデザインが出てきた際は、挑戦的でありながらも非常にしっくりとくるデザインで、衝撃を受けました。

金子(DCD)
多色を用いたブランドデザインの場合、色の使い方を間違えるとこちらが意図していない伝わり方となるため、どうしてもデザインマネジメントはしづらくなってしまいます。その後のクライアント様での運用のことを考えるとおっしゃる通り、挑戦的な提案ではありましたね。
森様
いただいたものを見た時に、たくさんのカラーが他の人とつながるサービス形態を表現していて、まるで私たちを認めていただいたような気持ちになったのを覚えています。運用についても懸念されてはいましたが、今まで共にやってきた私への信頼があってこその提案だと受け取りました。「森さんたちと共にこのデザインで歩んでいきたい」というメッセージのようなものも感じて、嬉しくなりましたね。
実際にこのロゴはとても好評です。こういったデザインにはどうしても個人の好き嫌いの議論が起きがちで、少なからず批判や文句が出るものですが、そういったものもありません。むしろ展示会では、パートナーである別会社の方からもこのデザインのネックストラップをつけたいからもらえないか、と言われたりすることもあり、デザインの持つパワーには驚かされますね。

金子(DCD)
新しい事業で、様々な部署から人が集まっていたので、メンバーのモチベーション向上や気持ちを一つにするためにもデザインの力は必要になってくると感じていました。「自分が携わっているものはかっこいいものだ」と思ってもらえるものになれば嬉しいと考えながら取り組んでいましたので、実際にそういった反応があるのはとても嬉しいです。
森様
当初から一貫してシンプルさも貫くことができ、多くの人に受け入れられるデザインとなったので、成功したな、という実感がありましたね。
DCD側で印象的だった出来事は何ですか?
大庭(DCD)
やはり「OREX SAI」という企業名策定は印象的な出来事でした。合弁会社を設立することが決まり、名称が必要となった中で、「docomo」を入れたネーミングとするのか、全く新しいものとするのか、検討事項が多く進め方が難しかったなという印象があります。

森様
そうですね。一方でネーミングの際も、DCDとはなんとなくの頭の中でのイメージを早い段階で共有できていたように思います。加えて、具体案の選定が難しい中で、「これは違うと思う」というNG案も含めて考えていただけたのは、判断がしやすく良かったですね。早めに方向性を決められたことで進めやすくなりました。
その後最終的に決定した「OREX SAI」は、実は最後の最後に金子さんからいただいたアイデアでした。それまでに検討していた中でも良いものはありましたが、「OREX SAI」をいただいた時にスッと「それだ」と思いました。今まで様々なクリエイティブを共に作ってきたからこその、必然が積み重なって生まれた偶然のようでとても印象的でした。こういった経験が増えることで、より強固な信頼関係が生まれてくるのだと思います。
今回の一連のプロジェクトは、発散させたアイデアを上手く着地させる手段をたくさん持っているDCDとだからこそできたことだと強く感じました。
今後メンバーが変わっても、長く続くブランドとしていくために
今後DCDに期待することはありますか?
森様
良い意味で、今までと変わらないままでいてほしいと思います。今回のプロジェクトを通し、DCDとは単なる受発注の関係ではなく、ブランディングに共に取り組んだチームメンバーの一員だと思っています。今後も、サービスブランドOREX®の浸透と、新会社OREX SAIのインナーブランディングなどを進める中で、変わらず長くブランドに込めた想いを受け継いでいける施策に取り組んでいきたいと思っています。
OREX®や、OREX SAIに対して今後考えていることはありますか?
森様
今は私がプロジェクトを牽引していますが、この先当初のメンバーがいなくなった時にもブランドとして自立していくためにはどうすべきかを考えていきたいです。
ブランドは作って終わりではなく、人がいなくなっても守り、広げていく必要があります。そこに取り組んでいきたいですね。
金子(DCD)
ブランドを立ち上げた人の熱量を、その人たちがいなくなってからも多くの人に継承していくことが、ブランディングにおいては非常に重要だと私も考えています。たくさんの人々に、長きにわたって波及していくようなブランドにしていきたいですね。
大庭(DCD)
時代が変わってもエルメスやルイ・ヴィトンは、軸は変わらず、ブランドの想いを人々に伝えています。OREX®も、今後そういった存在になっていけるように、我々もお手伝いさせていただきたいと思います。
森様
ありがとうございます。DCDと一緒であれば、そういった自立したブランドにできると感じています。引き続きよろしくお願いいたします。

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関連サイトはこちら
▼OREX®サービスサイト
https://ssw.web.docomo.ne.jp/orex/
▼OREX SAIコーポレートサイト
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