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ブランドコンセプトとは?作り方・成功事例・策定のポイントを徹底解説

目次

    【1. はじめに:ブランドコンセプトの重要性】

    現代の市場環境では、商品やサービスの機能や価格だけではなく、「企業の理念」や「価値観」といった見えにくい要素こそが、選ばれる理由となっています。そこで必要になるのが「ブランドコンセプト」です。
    ブランドコンセプトとは、企業や事業、商品が「どんな存在で、誰のために、どんな価値を提供するのか」を明文化したもの。つまり、自社ブランドの“核”であり、提供価値の旗印でもあります。
    企業理念と直結するブランドコンセプトを明確に持つことで、社内外での一貫性が生まれ、信頼のあるブランド構築が可能になります。さらに、ブランド戦略やマーケティング活動の全体設計における“羅針盤”として、重要な機能を果たします。この記事では、ブランディング推進の中で重要となる、ブランド価値を高め、競合ブランドと差別化を図るためのブランドコンセプト策定の方法から、実際の成功事例までを徹底的に解説していきます。


    【2. ブランドコンセプトとは?ブランドコンセプト作成・基本の解説】

    ブランドコンセプトとは、「誰に(ターゲット顧客)」「何を(商品・サービス)」「どのように(価値・体験)」届けるのかを言語化したものです。言い換えるならば、そのブランドがもつ世界観や思想、顧客との関係性を端的に伝えるコンセプトデザインの中心です。
    重要なのは、単なるキャッチコピーやスローガンではないということ。ブランドターゲットや企業理念、競合ブランドとの差別化要素、提供価値までも内包し、すべての発信・行動・表現の基盤になるものです。
    例としてナイキの「Just Do It」や、スターバックスの「サードプレイス」は、単なる言葉以上に、ブランドストーリーや事業コンセプトと強く結びつき、ターゲット顧客のライフスタイルや価値観に深く浸透しています。
    このように、ブランドプロミス(約束)と一体となったコンセプトがあること、自社競合他社にない自社らしさをコンセプト調査を通じて理解し、コンセプト戦略やブランドメッセージを策定していくことでブランドの魅力が明確化され、マーケットでの存在感が確立されるのです。


    【3. ブランドコンセプトが必要な理由とメリット】

    ◾顧客に選ばれる“意味”を提供する
    ブランドコンセプトがあることで、単なる機能・価格競争から脱却し、「なぜこのブランドを選ぶのか?」という明確な理由を消費者に提供できます。つまり“商品コンセプト”を超えた“事業コンセプト”として機能するのです。
    現代の消費者は、「安いから」「便利だから」ではなく、「共感できる価値があるから」ブランドを選びます。ブランドストーリーや企業の思想に惹かれ、自分ごと化されたブランドだけが長期的に支持されるのです。

    ◾社内における戦略軸として機能する
    ブランドコンセプトは、マーケティング、営業、商品開発、採用など、あらゆる事業活動における判断軸となります。特に自社ブランドが複数ある場合、一貫したブランド戦略を遂行するうえで欠かせないのがこの軸です。 また、社員にとっても「何のために働くのか」「どんな顧客ニーズに応えているのか」を理解する指針となり、従業員エンゲージメントやモチベーションの向上にもつながります。


    【4. ブランドコンセプトの作り方:3つのステップ】

    ●STEP1:現状分析と顧客ニーズの理解
    自社の立ち位置(市場環境・競合ブランドとの違い・強みと弱み)をSWOT分析・3C分析などで可視化します。特に、ターゲット顧客が抱える課題や期待、共感する価値観を深堀りすることが、自社ブランド独自の“可能性”を導く鍵となります。

    ●STEP2:ブランド価値と提供価値の言語化
    ブランド価値とは、顧客にとっての心理的・感情的な価値です。「信頼」「安心」「誇り」などの感情に訴える要素を抽出し、それを提供価値としてまとめます。ここでブランドコンセプト作成に必要なのが、他社との違い(差別化)と“自分たちらしさ”の言語化です。

    ●STEP3:コンセプトデザインと体現設計
    ブランドコンセプト作りの最終段階では、メッセージとしての言語化と、それを体現する施策(ビジュアル、広告、プロダクト、空間、社内行動)の設計を行います。ブランドプロミスとして一貫性を持たせることで、コンセプト戦略として定着させることができます。


    【5. 成功事例①:NTTドコモ「OREX」ブランド開発】

    📎 OREX ブランド開発(事例詳細)
    📎 NTTドコモ 海外展開支援

    NTTドコモは、次世代通信規格「Open RAN」のグローバル展開に向けて、「OREX(Open RAN Ecosystem Experience)」という新ブランドを立ち上げました。これは単なる商品名ではなく、「共創による通信の未来を拓く」というメッセージを込めたブランドコンセプトそのものです。

    大伸社コミュニケーションデザイン(DCD)は、ネーミング・ロゴ・ブランドストーリー・体験設計までをトータルで支援。OREXという言葉には、開放性(Open)、次世代通信(RAN)、協業体制(Ecosystem)、体験(Experience)という要素を重ね、BtoBでもグローバルでも通用するコンセプトデザインを構築しました。

    展示の場となったMWCバルセロナ2023では、技術紹介ではなく“ブランド体験空間”を実現。OREXの思想が視覚・空間・体験を通じて世界中のターゲット顧客に伝わるよう設計され、関係者の共感と信頼を獲得しました。まさに、ブランドプロミスを多面的に表現した成功事例です。


    【6. 成功事例②:FCS(福島コンピューターシステム)ブランド再構築】

    📎 FCS ブランド再構築プロジェクト
    📎 FCS CM施策

    FCSは、光通信インフラの設計・保守を担う福島の企業。長年にわたり“縁の下の力持ち”として業界を支えてきましたが、地元での認知が低く、採用難やブランド戦略の不在に悩まされていました。
    大伸社は、ただの映像制作ではなく、「なぜ存在するのか」を明確に伝えるブランドコンセプト作成から提案。社員インタビューや現場観察を重ね、「誇り」「使命感」「安全へのこだわり」といったFCSの本質的価値を可視化。ブランドターゲットに向けた新たな事業コンセプトとして再構築しました。 制作されたCMにはタブラ奏者ユザーン氏を起用。地元性と洗練を両立した表現で、YouTube再生数は115万回を突破。郡山市のイベント協賛など、地域に根ざしながらも社会的接点を増やし、自社ブランドの可能性を開拓するに至りました。消費者視点での“共感できる物語”が、ブランド価値を跳ね上げた好例です。


    【7. ブランドコンセプトがもたらす影響とまとめ】

    ブランドコンセプトは、単なる“言葉”ではなく、ブランド全体の方向性・存在意義・社会的意味を明文化する重要な資産です。明確なコンセプトがあることで、ブランドターゲットはそのストーリーに共鳴し、「そのブランドを選ぶ理由」を感じることができます。
    また、OREXやFCSのように、内側から価値を見つめ直し、それをブランドとして表現し直すことは、単なる広告手法ではなく、“企業変革の一手段”であるとも言えるでしょう。
    自社ブランドを見直す際は、「自社が何を信じ、誰に届け、どんな社会の一部になろうとしているか?」という問いから出発する必要があります。その答えこそが、競合ブランドに埋もれない「あなたのブランドだけの物語=ブランドコンセプト」です。 いま、あなたの企業・商品・サービスに、言葉にできる“約束”=ブランドプロミスはありますか?
    そのメッセージは、きちんとターゲット顧客に届いていますか?

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