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経営メッセージが伝わっている社員はわずか2割。進む「理念の形骸化」と「他人事化」

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経営計画・経営方針は、事業の方向性を定め、企業全体のモチベーションを左右する重要な要素です。しかし、従業員に周知した経営計画・経営方針が「現場に伝わっていない」と感じている経営者の方も多いのではないでしょうか。​

​​企業のコーポレートブランディング支援をおこなう株式会社大伸社コミュニケーションデザインは、経営方針の発表経験がある企業に勤務する会社員を対象に「経営方針の浸透度」を調査しました。​

​​その結果、発表された方針の内容を正確に説明できる社員は​​20.3%という結果に。約8割の現場で経営の意思が形骸化している実態が明らかになりました。​​さらに、過半数が会社の方針を「他人事」と捉えており、企業側が発信する情報の「形式」と、現場が求める「理解のプロセス」との間には、決定的なギャップが生じていることが判明しました。​

​​本記事では、アンケート結果を踏まえ、経営計画・経営方針の浸透実態と、現場の意識と行動を変えるためのポイントを探ります。​ 

目次

    ​​調査結果サマリー​

    • ​​約8割の社員が経営計画・方針の内容を正確に記憶しておらず、過半数が「自分ごとではない」「関心がない」と回答​ 
    • ​​理解や浸透を促す施策として、約半数(47.3%)が「具体例・ストーリーの共有」が有効と回答。行動変化に有効な施策は「日常業務への落とし込み」が50.0%で最多​ 
    • ​​一方的なテキスト伝達がメインとなっている現状が、現場との認識の乖離を生む要因に。「ストーリー性」と「日常業務・評価への連動」が浸透の鍵となる​ 

    ​​調査概要​

    ​​調査名称:お仕事に関するアンケート​

    ​​調査期間:2026年2月12日 ~ 2026年2月12日​

    ​​調査対象:お勤めで、過去5年以内に経営方針の発表があった際に在勤していた方​

    ​​サンプル数:300名​

    ​​調査方法:インターネットアンケート調査(Freeasy)​

    ​​※グラフの数字は小数点第2位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。​ 

    ​​本記事の調査結果や画像を引用する場合は、「株式会社大伸社コミュニケーションデザイン」の名前を明記のうえ、引用元として以下のリンク設置をお願いいたします。​ 

    引用:https://www.daishinsha-cd.jp/blog/inner-branding-survey

    ​​社員の約8割が経営計画・経営方針を「正確に覚えていない」という実態​

    ​​はじめに、直近5年間で発表された経営方針に関する「記憶の精度」について尋ねたところ、次のような結果が得られました。​

    直近5年で発表された「経営計画・経営方針」の内容を、現在どの程度「正確に」覚えていますか?

    ​​発表された経営計画や経営方針を、自分で説明できるほど正確に理解している層は、わずか20.3%。一方で「大枠は理解している(41.3%)」「断片的に覚えている(25.3%)」「ほとんど覚えていない(8.7%)」「まったく覚えていない(4.3%)」と、調査対象の79.6%が内容を完全には覚えていない旨の回答でした。経営者が策定した理念やビジョンが現場に伝わらず、形骸化している実態が伺えます。​

    ​​本来、経営計画や経営方針は、企業の意思決定や、業務上の行動基準となるものです。性質上、どうしても概念的・抽象的な内容に偏ってしまいやすいとはいえ、発表した内容を社員の約8割が正確に理解できていない状況では、日々の業務に結びつけるのは極めて難しいでしょう。​

    ​​「社員の記憶に残っていない」という結果は、企業の情報伝達のあり方を見直す必要性を示しているといえます。​ 

    ​​社員の過半数にメッセージが響いていない!?立ちはだかる「他人事」という壁​ 

    発表された「経営計画・経営方針」や、それらを定着させるための活動について、当時のあなたの気持ちに近いものをお選びください。

    ​​次に、経営計画・経営方針や、その定着活動に関して感じたことについて尋ねたところ、過半数となる54.7%を占めたのがネガティブな意見です。その中でも目立った回答は「理解はしたが、自分ごとではなかった(36.3%)」「正直、あまり関心がなかった(9.7%)」でした。つまり、企業が発表した経営計画・経営方針が社員に正確に伝わらない大きな要因は「社員の無関心」にあると考えられます。​ 

    ​​問題は、伝達内容の難解さではなく「自分ごととして受け止められていない」ことです。現場の従業員にとって、社内全体の抽象的な経営計画や経営方針は、自分の業務とどのようにつながるのか見えづらく、理解や共感、行動に結びつきません。​ 

    ​​結果として、発表直後は理解したつもりでも、新たな情報が次々と入ってくる中で、時間が経つにつれて記憶が薄れ、やがて忘れ去られてしまうのです。経営計画・経営方針を現場に浸透させるには、こうした「ただ情報が流れていってしまっている状態」の原因を探り、根本的に変える必要があるといえます。​ 

    ​​トップと現場で伝達方法のミスマッチが発生!「テキスト偏重からの脱却」が課題に​ 

    経営計画・経営方針がは発表された際、どのような形式で情報が伝えられましたか?

    ​​続いて、現在の経営計画・経営方針の伝達方法について尋ねました。その結果、現状、伝達方法の主流となっているのは「社長・経営陣による全社説明会(54.3%)」「社内ポータル/資料配信(53.7%)」「上司からの説明(31.0%)」のような、一方向の伝達手段であることが判明。逆に「動画配信(23.3%)」や「ワークショップ/ディスカッション(12.0%)」の活用は、少ない割合に留まっています。​ 

    ​​説明会や資料・文書など、情報をテキストで一方的に伝えるだけの伝達方法は「一度聞いて終わり」になりがちです。

    一方向的なコミュニケーションは、疑問があっても速やかな解消は難しく、伝えた内容が単なる「聞いたことのある情報」として流れていってしまいやすくなります。また、テキストによる情報伝達は、受け手の読み方によって理解度が変わってしまうことも少なくありません。​ 

    ​​さらに、企業規模が大きくなるほど、企業トップの認識と現場の実態との剥離が広がるものです。発表された時点では理解したつもりでも、その後の業務に追われるうち、記憶から薄れてしまうこともあります。​ 

    ​​つまり、経営計画・経営方針を伝えるにあたって、トップによる一方的な伝達方法では、「情報の受け渡し」だけで完結し、双方向のやり取りや深掘りの機会が不足していることを示唆しています。テキストによる情報の「共有」で満足するのではなく、いかにして社員がその内容を自分に引き寄せ、思考を深められるか。情報の「届け方」そのものを見直す必要性が表れているといえるでしょう。​ 

    ​​現場とのミスマッチを埋める鍵は「ストーリー性」​ 

    経営計画・経営方針の「理解・浸透」に有効だったと感じる施策はありますか?

    ​​さらに、発表した経営計画・経営方針の理解や浸透を促した施策について尋ねた結果、最も有効な手段だといえるのは「具体例・ストーリーの共有(47.3%)」です。また「繰り返しの説明(41.7%)」や「上司からの噛み砕いた説明(37.7%)」などの施策も、トップの熱意を伝え、現場のモチベーションを高めるのに一役買っていることが分かりました。​ 

    ​​つまり、現場が本当に求めているのは、メッセージを裏付ける「ストーリー性」です。ストーリー性が重視されるのは、それが情報の理解を促し、記憶として定着しやすくなるという仕組みにあります。これを、マーケティング用語では「ストーリーテリング」といいます。単なる数字や抽象的な概念を伝えるのではなく、「なぜその方針なのか」「目指す未来に自分がどう関わるのか」という文脈を物語として提示することで、情報の記憶定着率と説得力を飛躍的に高めることができるのです。​ 

    ​​抽象的なビジョンを「自分ごと」として捉え直すには、一方的な通達ではなく、対話を通じて自身の役割を再定義するプロセスが大切になります。ストーリーテリングによる「納得感を得るためのコミュニケーション」こそが、トップと現場の認識の溝を埋める鍵となるでしょう。​ 

    ​​現場を変革させるのは「線」でつなげたプロセス設計​ 

    経営計画・経営方針の発表後、ご自身の「行動変化」に有効だったと感じる施策はありますか?

    ​​続いて、発表した経営計画・方針の形骸化を防ぎ、自分ごと化させるポイントを探るため、自身の行動変化に有効だった施策について尋ねました。​ 

    ​​その結果、最も多い割合となる50.0%を占めたのは「日常業務への落とし込み(行動指針)」です。「評価・目標精度との連動(44.7%)」や「定期的な振り返り・進捗共有(37.0%)」といった回答も目立っています。発表した経営計画・経営方針を現場に活かすには、日常業務や評価プロセスとリンクさせ、一つの線でつなげることが肝心です。​ 

    あなたが「経営計画・経営方針が浸透している」と感じるのはどのような状態ですか?

    ​​また、経営計画・経営方針の発表を受けた従業員の方に「経営ビジョン・方針が浸透しているのはどのような状態だと考えるか」を尋ねたところ、最も多かった回答は「判断・意思決定の基準として使われている(50.3%)」です。次いで「評価や目標設定に反映されている(41.7%)」「社員同士の会話に自然に出てくる(33.0%)」との回答が多くを占める結果となりました。​ 

    ​​つまり、経営計画・経営方針の浸透度を図る指標となるのは「日常業務や評価プロセスとの関連性」です。「方針決定→施策立案→実行→評価・改善」のプロセスを、すべて一本の「線」でつながった状態にすることで、現場の従業員に経営計画・経営方針を認識させ、理解度と浸透度を高めます。​ 

    ​​しかし、実際の現場では、企業側が発表した経営計画・経営方針と日常業務との間に、明確な接点が設けられていないケースも珍しくありません。説明会や資料などで一方的に伝達されるだけでは、計画・方針と自らの業務を、それぞれ別軸の「点」として切り離して捉えてしまい、やがて形骸化しやすくなります。​ 

    ​​経営計画・経営方針を形骸化させず、現場の行動を変えるための鍵は、それらを一過性のイベントにせず「日常の業務フローの中に組み込む」ことです。その橋渡しとして有効なのが、感情や文脈をダイレクトに伝えられる「動画配信」です。トップの想いをストーリーとして可視化する動画は、テキストではこぼれ落ちてしまう「熱量」を届け、現場の深い共感を引き出します。さらに、その内容を自分たちの業務に引き寄せる「ワークショップ」を組み合わせることで、他人事から「自分たちの指針」へと昇華されます。​ 

    ​​方針をストーリーとして「動画」で理解し、「ワークショップ」で業務に落とし込み、最終的に「評価」へとつなげる。この一貫したプロセス設計こそが、組織を動かす真の原動力となるのです。​ 

    社員の意識と行動を変えるインナーブランディングは「大伸社コミュニケーションデザイン」へご相談を​ 

    ​​今回のアンケートでは「経営計画・経営方針をトップが一方向・一過性の方法で伝えるだけでは、従業員の認識は変えられない」ということが分かりました。調査結果から見えてきたのは、経営計画・経営方針の浸透には、伝える内容だけでなく「伝え方」と「業務との結びつけ」が大きく影響しているということです。​ 

    ​​抽象度の高い理念やビジョンは、現場の業務と具体的に結びつけて理解されなければ、単なる情報やスローガンとして処理され、いずれ忘れ去られてしまう恐れがあります。社運をかけて策定したビジョンでも、現場に届き、浸透しないことには意味がありません。​ 

    ​​従業員の心を動かすポイントとなるのは、経営計画・経営方針を物語に変換し、動画やワークショップといった自分ごと化しやすいプロセスで広めることです。​ 

    ​​経営計画・経営方針と日常業務を線でつなげるプロセス設計にお悩みなら「大伸社コミュニケーションデザイン」へご相談ください。ブランディングの意義と企業理念体系を分かりやすくまとめたガイドブック作成、理解・浸透しやすい「動画×ワークショップ」によるエモーショナルな演出、現場との密なコミュニケーション・連携を促す体制整備など、経営計画・経営方針のアウトプットを全面的にサポートします。​ 

    ​​クリエイティブの制作だけではなく、施策展開の提案・アドバイスも行っています。従業員が理念やメッセージに共感し、主体的に行動する仕組みを、一緒に作っていきましょう。​ 

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