ブランディングでデザインに取り組むべき理由や考え方とは?

header-picture

「ブランディングとデザインには、どんな関わりがあるんだろう」

と考えている人は多いのではないでしょうか。

ブランディングにおいて、デザインには以下の役割があります。

  • 企業のイメージを統一する
  • 無形の財産を作る

ユーザーとのタッチポイントとなる各コンテンツにおいて、トーン&マナーを統一したイメージで伝わるようにすることがデザインの役割。

その結果、自社イメージをしっかりと固めることが可能です。

とはいえ、具体的にデザインの方向性を決める方法などは、なかなかわかりにくいかと思います。

そこで今回は、ブランディングにおけるデザインの役割や考えるべき理由、企業事例、デザイン決定までの流れを紹介します。

今回の記事を参考にしながら、ブランドをデザイン面からしっかりとマネジメントしていきましょう。

ブランディングにおけるデザインの概要と役割

「ブランディング デザイン」写真1

最初に、ブランディングとデザインの関係について、

  • ブランディングとは
  • ブランディングにおけるデザインの役割
  • ブランディングにつながるデザインの例

の観点から解説します。

そもそもブランディングとは?概要や目的を解説

ブランディングとは、企業の魅力的なオリジナルイメージをお客様に伝える努力のことです。
そして企業イメージは「ブランド」といわれます。

ブランドとは、自社社員が決めるものではありません。
ユーザーが企業の商品やサービス、社員と接したときに感じるものです。

また常に変化するため、企業がコントロールすることは難しいです。

ブランディングを通して企業イメージを高め続けることで、他社との差別化や価格競争から脱却が実現。

結果として、売上アップなど企業が大きく成長するきっかけになります。

ブランディングにおけるデザインの役割

ブランディングにはさまざまな工程があり、その一部に「デザイン」も含まれています。

デザインの役割は、主に以下の2つ。

  • 企業のイメージを統一する
  • 無形の財産を作る

ブランディングでは広告やロゴデザイン、ブランドムービーなど、ユーザーが目にするものを数多く制作します。

そのときにトーン&マナーやキーメッセージが複数あると、ユーザーは共通イメージを持つことができません。

デザインを統一すると、同じイメージをお客様に与えることが可能。
統一したデザインの方が、ユーザーに自社イメージを覚えてもらいやすいのです。

ブランディングでデザインが重視されるもの

ブランディングにおいてデザインが重視されるのは、例えば以下のような成果物です。

  • ロゴ
  • 商品パッケージ
  • Webサイト
  • ブランドムービー
  • CM

デザインは、ユーザーが目にするものに対して意識することが必要でしょう。

ブランディングでデザインを意識するべき理由

「ブランディング デザイン」写真2

続いては、ブランディングでデザインを意識するべき理由として、

  • 企業や商品イメージの統一
  • 競合他社との差別化
  • リピーター作り

の3つを解説します。

理由1.企業や商品のイメージを統一できる

ブランディングでデザインを意識すると、企業や商品のイメージを統一することが可能です。

デザインにおいてトーン&マナーなど、特定のデザインやカラーを決めたとします。
すると、そのデザインとカラーを認識するだけで、自社を認識してもらうことが可能です。

例えばコーポレートカラー。
「赤」「緑」など特定の色を決めていると、その色を活用した企業ロゴを見るだけで、特定の企業や店舗だと認識されることが増えます。

同じ業界内でも、特定のポジションを取ることが可能です。

理由2.競合他社との差別化になる

しっかりと統一されたデザインは、競合他社との差別化につながります。

同一カテゴリーやジャンルの中で、機能性が同じ商品は数多く存在します。
ユーザーは似た商品を目にしたとき、好みのデザインを選ぶことも少なくありません。

デザインで企業イメージを統一しておくことで、ユーザーが商品を目にしたときに「A社の商品である」と認識することが可能です。

またデザインのクオリティが高いと、それだけで商品を購入するユーザーも多いです。
業界内で高値で売りやすくなり、自社の売上アップも期待できるでしょう。

 

理由3.リピーターを作りやすくなる

ブランディングに取り組むと、自社商品のリピーターを作りやすくなります。

ブランドに好意を持つようになると、ユーザーが自社商品を好んで使い続けることも多いです。

商品によっては、まとめ買いをすることもあるでしょう。

同じものを継続的に使用するぶん、積極的な販促活動は必要ありません。

またユーザーが自発的に口コミを拡散する傾向も強く、他のユーザーの消費行動に影響を与えることもあります。

自然と知名度もあがり、結果として新規ユーザー獲得にかかるコストや時間を削減できます。

 

デザインからブランディングに取り組んだ事例

「ブランディング デザイン」写真3

続いては、実際にデザイン面からブランディングに取り組んだ企業として、

  • 有限会社ワカサ
  • 株式会社アドテックエンジニアリング
  • 日立産機機システム

の3社を紹介します。

事例1.有限会社ワカサ【ブランドロゴ】

有限会社ワカサは、ブランディングにおいてブランドブックとロゴを新たに制作しました。

有限会社ワカサは、北海道の特注家具メーカーです。
デザイン家具の新ブランド立ち上げにあたり、ブランドブックとブランドロゴを制作しています。

それぞれのポイントは、以下の通りです。

【新ブランド名「USCITA」】
USCITAとは、イタリア語で「出口」。
新しいステージに向けて扉を開けるときに、家具やインテリアを通して豊かな生活を応援する、という気持ちが込められています。

【ロゴデザイン】
旭川の象徴である大雪山と表現し、中心の山は旭岳をイメージ。
またブランド名の「A」は旭川から新しい家具ブランドを発信したいという思いを込めて太字に。

【ブランドブック】
表紙は日本の家具をイメージして深い藍色に。
また木工技術と特徴的なデザインを伝えるために、商品の雰囲気にあった邸宅で撮影。

詳しくは「デザイン家具プロジェクトがスタートしました  Vol.1」、または「USCITA ブランドロゴ、製品カタログ、ポストカード」を参考にしてみてください。

事例2.株式会社アドテックエンジニアリング【展示会プロモーション】

アドテックエンジニアリングは、展示会のデザインを通して自社イメージを伝えています。

毎年出展している展示会「JPCA Show」において、告知から終了後の営業活動まで、一貫したイメージを植えつけました。

取り組んだのは、「LPによるコンセプトや製品紹介」。

【告知・当日】
カタログとビジュアルイメージを連動したLPを用意。
展示会コンセプトやコンテンツを紹介。

【会期後】
告知LPを製品サイトとして運用。

一貫した世界観を提供することで、来場者の期待感を刺激。
名刺獲得において昨年比3倍という結果を残しました。

詳しくは「JPCA Show 2018 展示会プロモーション」を参考にしてみてください。

事例3.日立産機システム【カタログ・動画などの制作】

日立産機システムは、新製品「アモルファスモータ 一体型 オイルフリースクロール圧縮機」のデビュープロモーションにあたり、ブランディングに取り組んでいます。

新製品は業界内でも画期的な性能、特長を持った製品だったため、華々しい新製品デビューにしたという思いがありました。

アピールポイントは、これまでの商品に比べて約37%まで小型化に成功しており、新しい使い方を可能にしていること。

そこで従来のカタログやWebに加えて、他の販促活動にも取り組むことにしたのです。

制作したのは、以下の6つ。

  • カタログ
  • 動画
  • Webサイト
  • ポスター
  • 展示キット
  • セールスガイド

ポイントは、真正面から撮影した写真を使用したことです。

通常、製品写真は左右どちらかに角度をつけるものですが、「小型化」という差別ポイントが際立つように、真正面から撮影した写真を使用しました。

また「はるかに小さく。はるかに自由に。」というキャッチコピーも掲載し、製品の使用イメージを掻き立てました。

詳しくは「制作事例インタビューVol.1/日立産機システム様①」を参考にしてみてください。

 

ブランディングデザインに取り組むときの考え方

「ブランディング デザイン」写真4

続いては、実際にデザインから企業イメージを統一する方法を具体的に紹介します。

デザインを統一するために考えたいことは、以下の4つ。

  • ポジション
  • キーワード
  • ターゲット
  • コンセプト

1つずつ見ていきましょう。

1.ポジション

ポジションとは、市場における自社の立ち位置です。
他社の製品と比較したとき、自社にはどんな強みがあるのか、分析しましょう。

自社のポジションを知っておくと、他社と異なる魅力を発掘できます。

ポジションは、以下のような項目から考えることが可能です。

  • 価格
  • 機能
  • デザイン

マップのような図にすると、わかりやすいです。

2.キーワード

次に、ブランドアイデンティティを視覚化できる、キーワードを探しましょう。

目的は「自社の企業理念、商品・サービスのコンセプトを視覚的イメージに落とし込むため」。

特定のキーワードを打ち出すことで、自社イメージがより伝わりやすくなります。

キーワード探しの方法は、以下の通りです。

  • 企業理念やコンセプトからアイデンティティに関するキーワードを出す
  • すべてのアイディアはポストイットなどに書き出し、ホワイトボードに貼る
  • ブランドイメージに近いものを3〜5個にしぼる

ある程度キーワードを絞り込んだら、そのキーワードをもとに色やフォントなども決定します。

キーワードを決めておくと、ロゴなどを制作するときにスタッフ間の認識を統一することが可能。
ブランドイメージをさらに統一できます。

3.ターゲット

ターゲットとは、商品やサービスを利用してほしい顧客イメージです。

例えば年齢や性別、職業などを具体的に決めることで、より響きやすい商品を考案することができるでしょう。

ターゲットはインタビュー調査などを通して、実際の顧客から聞き出す方法がおすすめ。

具体的な方法は記事の最後で紹介しますので、参考にしてみてください。

4.コンセプト

コンセプトとは、ブランディングにおける考え方です。
主に以下の項目を言葉で具現化しましょう。

  • 誰が
  • 誰に
  • 何を
  • どのように

上記をもとにしながら、自社のコンセプトを考えてみてください。

ブランディングにおけるデザインの方法

「ブランディング デザイン」写真5

ここまでブランディングにおいてデザインを統一する方法を解説しましたが、実行のイメージはつかみにくいかと思います。

そこで次は、実際にブランディングにおいてデザインを統一する流れを紹介します。

  • 調査
  • ワークショップ
  • プランニング
  • ツール制作

1つずつ見ていきましょう。

1.調査

まず自社の立ち位置を調査しましょう。

調査は主に、以下の2つにわけることができます。

【定量調査(アンケート)】

以下の項目を尋ねることが多いです。

  • 自社と同カテゴリーの商品を選ぶポイント
  • 自社イメージ
  • 他社のイメージ
  • 自社・他社への満足度 など

【定性調査(インタビュー)】

ユーザーの潜在的(無意識)なイメージを把握するために、深いインタビュー調査を実施。
例えば心象イメージ法などによって、自社イメージに近い画像を選んでもらう。
そこから質問などをくり返して、自社イメージが形成された過程を知る。

上記の調査は、ユーザーの無意識のイメージなども把握することが可能です。

調査を通して、自社のポジションなどを確認していきましょう。

2.ワークショップ

続いて、ワークショップを通して自社イメージを固めていきましょう。
先ほど紹介したキーワード探しなどは、ワークショップで探していくことが多いです。

ワークショップを通して、抽象的だったブランドイメージが、少しずつ言語化されていくでしょう。

ワークショップでの注意点は、以下の2つ。

  • 人の意見を否定しない
  • チームやチーム外の従業員など幅広いメンバーで行う

意見を否定すると、新たな意見が出しにくくなります。
幅広いメンバーで開催しながらも、意見を受け入れる空気感を心がけてみてください。

3.プランニング

調査やワークショップの情報をもとに、ブランディングのゴールと進め方を決めましょう。
主に、「何を制作する必要があるのか」を決めることが多いです。

このときは、ブランディングの専門会社など、プロの意見を取り入れるとスムーズです。

相談しながら、自社の課題解決に最適なツールを見きわめましょう。

4.ツール制作

先ほど決めたツールを実際に制作します。

ツールは例えば、

  • カタログ
  • 動画
  • Webサイト
  • 広告ビジュアル
  • 展示会ビジュアル

などです。

大伸社コミュニケーションデザインでは、上記のような流れを一貫してサポートします。

詳しくは「サービス概要」を参考にしてみてください。

ブランディングをデザインから考えるときの注意点

「ブランディング デザイン」写真6

最後に、ブランディングでデザインを考えるときのポイントとして、

  • デザインマネジメントの基準
  • 基準の共有
  • 分かりやすさの重要性

の3つを解説します。

注意点1.デザインマネジメントの基準を決める

ブランディングにおいてデザインを決めるときは、基準をしっかりと決めましょう。

ブランディングとは、企業らしさを決めるもの。
企業が持つものでありながら、自分たちだけで決めることはできません。

ユーザーが抱くイメージのため、しっかりとコントロールすることが必要です。

イメージはデザインの基準を決めておくことで、ある程度コントロールしやすくなります。

基準は例えば、

  • トーン&マナー
  • キーメッセージ

などです。

まずは上記をしっかりと考えてみてください。

注意点2.社内外の制作スタッフで基準を共有する

先ほど決定したデザインの基準は、関与する制作スタッフ(社内外)でしっかりと共有しておきましょう。

デザイン基準を共有しておかないと、トーン&マナーなどがバラバラになりかねません。
修正作業など、新たなコストと時間が発生してしまいます。

1つのチームとして機能するように、最初に体制を整えておいてください。

注意点3.独自性よりもわかりやすさを重視する

デザインは独自性よりも、わかりやすさを重視しましょう。

「デザイン」と聞くと、独創的なものをイメージするかもしれません。
しかしオリジナリティがありすぎる、アート性が強すぎると、ユーザーにメッセージが伝わりにくいです。

ターゲットが好むデザインなどを調査したうえで、メッセージが伝わりやすいデザインを心がけてみてください。

ブランディングにおけるデザインの役割は企業イメージの統一

「ブランディング デザイン」写真7

今回はブランディングにおけるデザインの役割などを紹介しました。

ここまでをまとめると、ブランディングにおいてデザインは「企業のイメージを統一する」「無形の財産を作る」などの役割があります。

ロゴやカタログなど成果物のデザインを統一することで、ユーザーに共通の企業イメージを抱いてもらうことが可能です。

デザインを統一するために考えたいのは、以下の4つ。

  • ポジション
  • キーワード
  • ターゲット
  • コンセプト

また実際にデザインを決めるやり方として、以下を紹介しました。

  • 調査
  • ワークショップ
  • プランニング
  • ツール制作

大伸社コミュニケーションデザインは、上記の流れでブランディングなどサポートすることが可能です。

ブランディングを検討している、自社のデザインを統一したいというご担当者様は、お気軽にお問い合わせください。

Topics: マーケティング


Recent Posts

事例紹介:製薬業界におけるCX変革のためのトレーニング

read more

2024年4月から合理的配慮の提供が義務化!WEBサイトユーザビリティとの関係は?

read more

人的資本経営を推進する企業の「採用戦略」として重要なこと

read more