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ブランドステートメントとは?企業理念との違いや作り方、成功事例を解説

ブランドステートメントとは?企業理念との違いや作り方、成功事例を解説

「ブランドステートメントを検討したいけれど、具体的に何をどこまで書けばいいのか分からない」という悩みを抱えていませんか。

この記事では、ブランディングの実務に携わる方に向けて、ブランドステートメントの定義から作成手順、他社事例までを体系的に解説します。読み終わる頃には、社内外の心を動かす言葉を作るための具体的なアクションが明確になります。

目次

    ブランドステートメントとは何か? 

    ブランドステートメントとは何か?

    企業が発信するメッセージにはさまざまな種類がありますが、ブランドステートメントは、ブランドの核心を社内外に宣言する重要な言葉です。これは単なるキャッチコピーではなく、ブランドが顧客に対して行う「約束」であり、企業のあり方を凝縮したものです。

    ソースでは「ブランドメッセージ」や「ブランドコンセプト」として解説されており、第三者に説明できるようにストーリー立てたものと定義されています。

    社会に対する価値提供の約束 

    ブランドとは、ユーザーに対する「未来への約束」であると言えます。企業が未来に対してどのような約束をしているかが、その企業の存在意義となります。その約束がユーザーの心にどれだけ響くかが、企業の価値を決定づけるのです。

    「ユーザーに何で期待されたいか」「どんな人を救いたいのか」といった強い志を言葉にし、約束として提示することが求められます。

    企業の存在意義を翻訳した言葉 

    ブランドの核となる要素(志や提供価値)を、第三者にわかりやすく説明できるように翻訳したものがブランドステートメント(メッセージ)です。企業が掲げる「パーパス(存在意義)」や「ビジョン」などの要素を一つにまとめ、ストーリーの形で語ります。

    単なる文字の羅列ではなく、相手がイメージしやすい言葉に変換することで、社内外への浸透を促す役割を果たします。

    ブランドストーリーとの明確な違い 

    ブランドステートメントとブランドストーリーは、どちらもブランドを伝える手段ですが、その役割には明確な違いがあります。

    ステートメントは、ブランドの核となる要素(P-MVVとベネフィット)を凝縮し、一言で伝えるための「宣言」です。これに対し、ストーリーはその宣言に至る背景や文脈を補完し、より情緒的に伝える役割を担います。

    項目 ブランドステートメント ブランドストーリー
    役割 ブランドの核を一言で定義する「宣言」 背景や文脈を伝える「物語」
    構成 P-MVVとベネフィットの凝縮 Whyを中心としたストーリー展開
    目的 明確な定義と約束の提示 感情を動かし、共感を生む

    ステートメントが論理的な「定義」であるならば、ストーリーはそれを心で理解させるための「翻訳」と言えるでしょう。特にストーリーは、「なぜ(Why)」を中心にした物語の形で語られることで、社員や顧客の心を動かす力を持っています。

    企業理念(MVV)との明確な違いは? 

    mvvとブランドステートメントの違い

    企業理念(ミッション・ビジョン・バリューなど)とブランドステートメントは、どちらも企業の根幹に関わる言葉ですが、その役割には違いがあります。

    ソースでは、MVVを「ブランドのコア」そのものと位置づけ、ステートメント(メッセージ)は、それを伝えるための表現として区別しています。

    【関連記事】ミッション・ビジョン・バリューとは?事例から作り方までご紹介 | 大伸社コミュニケーションデザイン 

    視点の置きどころによる区別 

    MVV(およびパーパス)は、ブランドが「何者か」を示すための内部的な定義です。自分たちがなぜ存在し(Why)、どこへ向かうのか(Where)、何をすべきか(What)を定義した「志」と言えます。

    一方で、ステートメントなどのメッセージは、その「志」と「顧客への提供価値(ベネフィット)」を掛け合わせ、第三者に伝えるために視点を調整したものです。つまり、MVVが「自分たちの核」であるのに対し、ステートメントはそれを「伝えるための言葉」という位置づけになります。

    言葉が機能する時間軸の違い 

    MVV、特にビジョンは「未来のあるべき姿」を描くものであり、未来起点で考える「バックキャスティング思考」で作られます。現状の延長線上ではなく、将来どうなっていたいかという「夢」や「理想像」を語るため、時間軸は遠い未来に置かれます。 

    それに対し、ステートメントなどのメッセージは、現在の顧客に対して「私たちは(志)のために存在する。だから(価値)を提供する」と宣言するものです。 今、この瞬間から顧客に対してどのような期待に応えるかを約束する言葉として機能します。

    作成することで得られるメリットは? 

    作成することで得られるメリットは?

    ブランドステートメントを作成し、ブランドの核を明確にすることは、企業経営において多角的なメリットをもたらします。社内の意識統一から、顧客との関係構築まで、その効果は広範囲に及びます。

    社内における判断基準の統一 

    明確な言葉があることで、社内の判断基準が統一されます。プロジェクトを進める際、自分たちが立ち返れる基準を最初に持っておかないと、妥協の産物ができあがってしまいがちです。

    「なぜやるのか(Why)」という大義が腹落ちしていれば、社員は自律的に動くことができます。また、理念体系が明確であれば、事業間での共通の価値観が生まれ、組織の一体感醸成にもつながります。

    顧客との信頼関係と共感の醸成 

    対外的には、顧客からの信頼と共感を得やすくなります。現代の消費者は、商品そのものだけでなく、企業の姿勢や「志」を重視して選ぶ傾向があります。

    社会的な存在意義を明確に示すことで、顧客はブランドに対して愛着を持ちやすくなるのです。ブランドは、情報過多の時代においてユーザーが商品を選ぶための「道標」となり、選択のストレスを軽減する役割も果たします。

    ブランドステートメントを作る手順は? 

    ブランドステートメントを作る手順

    心に響くステートメントを作るには、自社の内面と顧客の期待の両方を深く理解する必要があります。思いつきの言葉ではなく、正しいプロセスを経て紡ぎ出された言葉こそが、強いブランドを作ります。

    手順1 自社の強みと本質の整理 

    まずは「自社を知る」ことから始めます。創業の動機や働く人々の想い、自社の強みを掘り下げていくことで、他社にはない独自のブランドの種が見つかります。

    経営者インタビューや社員へのアンケートなどを通じて、「自社のありたい姿」や「大切にしている価値観」を抽出します。SWOT分析などのフレームワークを用いて、客観的に自社の強みを整理することも有効です。 

    【関連記事】ブランディング戦略とはフレームワークや戦略の立て方、成功事例を解説 | 大伸社コミュニケーションデザイン 

    手順2 顧客の深い悩みと理想の特定 

    次に、顧客の視点に立って考えます。顧客が本当に求めているのは機能ではなく、自身の「用事(ジョブ)」を片づけることや、理想の状態を手に入れることです。

    「顧客はどんな結果を得たいのか?」「どんな気持ちになりたいのか?」と主語を顧客にして問いかけます。定性調査などを通じて、顧客自身も気づいていないような潜在的な願望や、ブランドに対する本来の期待を探り当てます。

    手順3 心に響く言葉への凝縮と検証 

    自社の「志」と顧客の「期待(ベネフィット)」が重なる部分を見つけ出し、それを一つのメッセージに凝縮します。「私たちは(ビジョン)の実現のため、(ベネフィット)を提供する」といった構文を用いて、ストーリーとして組み立てます。

    作成した言葉は、第三者に説明できるか、心が動くかといった視点で検証します。一言で言うと何の期待に応えるのか、端的な言葉に落とし込む作業も重要です。

    参考にしたい企業の成功事例は? 

    優れたブランドは、例外なく明確なメッセージやコアを持っています。ここでは、世界的に成功している2社の事例を紹介します。彼らの言葉は、単なる商品説明を超えて、企業の姿勢や顧客への提供価値を見事に表現しています。

    スターバックス コーヒー ジャパン 

    スターバックスは「The Third Place(第三の場所)」というコンセプトで広く知られています。 これは自宅でも職場でもない、心安らぐ居場所を提供するという約束です。

    また、ビジョンとして「アメリカ人のコーヒーの飲み方を変える」という野心的な目標を掲げていました。この明確な指針があったからこそ、単なるコーヒーショップの枠を超え、世界中で愛されるブランドへと成長したのです。

    参考:会社案内|スターバックス コーヒー ジャパン 

    ナイキ(NIKE) 

    ナイキは、スポーツウェアの機能性を訴求するだけでなく、もっと根本的な価値を提示しています。 彼らのブランドのコアにある期待は「自分の能力を高めてくれる期待」であり、「挑戦的、革新的」というイメージです。

    パーパスとして「スポーツを通じて世界を一つにし、健全な地球環境、活発なコミュニティ、そしてすべての人にとって平等なプレイングフィールドをつくり出す」ことを掲げています。 この強い意志が、人種差別問題への取り組みなど、一貫したブランド行動を支えています。

    参考:Nikeのパーパス 

    魅力的な言葉を作るポイントは? 

    魅力的な言葉を作るポイント

    どれほど崇高な理念があっても、それが伝わらなければ意味がありません。ブランドステートメントを魅力的なものにするためには、言葉の選び方に工夫が必要です。抽象的なスローガンで終わらせないためのポイントを解説します。

    専門用語を排除した平易な表現 

    優れたメッセージは、誰が読んでも理解できる言葉で書かれています。具体的にイメージできるかどうかが、良いステートメントの条件の一つです。

    「社会貢献」「お客様第一」といった、どの企業にも当てはまるようなありきたりな言葉や、難解な専門用語は避けるべきです。その会社ならではの理由や考えを、具体的かつ平易な言葉で言語化することが、独自性を生み出します。

    行動を喚起する具体的な情景描写 

    人の心を動かすのは、事実の羅列ではなく「物語(ストーリー)」です。「なぜ(Why)」を中心にしたストーリーの形で語ることで、読み手の感情を揺さぶることができます。

    また、ビジョンを描く際は「ムーンショット」と呼ばれる、現状の延長にはない高い目標を掲げることも有効です。ワクワクするような未来の情景を描くことで、社員や顧客のモチベーションを高め、行動を促すきっかけとなります。

    【関連記事】ブランディングに欠かせない!”なぜ”で人を動かす「ゴールデンサークル理論」 | 大伸社コミュニケーションデザイン 

    まとめ 

    まとめ

    ブランドステートメントは、企業の魂である「志」を社内外に宣言する旗印です。それは、自社の本質と顧客の期待が交わる場所に生まれる「約束」でもあります。

    魅力的な言葉を紡ぎ出すことは容易ではありませんが、一度定まれば、迷った時の判断基準となり、顧客と深くつながるための強力な武器となります。

    まずは自社の「Why(なぜ)」を見つめ直すことから、ブランド作りを始めてみてはいかがでしょうか。 

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