【SXSW2018】Design Thinking in Practice

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SPEAKERS:

Casey Hudetz; Sr Experience Designer, DigitasLBi

こんにちは。DCD Webチームで現在ニューヨーク在住の谷口です。SXSW2018レポートをお届けします。Casey Hudetz氏はDigitasLBi社のエクスペリエンス・デザイナーとして「デザイン思考」を提唱してきた人物です。このセッションでは、デザイン思考のプロセスを分かりやすく紹介し、デザイン思考プロセスを通じてどのように課題解決できるのか、実践的なテクニックを交えて紹介されました。

デザイン思考プロセス

デザイン思考プロセスは、共感する(emphathize)、定義する(define)、アイディアを出す(ideate)、プロトタイプを作って試す(prototype)、テストする(test)の5つで構成されると、Hudetz氏は紹介しました。

sxsw2018 design thinking

 

1. 共感する(emphasize)

ビジネスにおいて、ユーザー、顧客など「人」を理解することは創造、改善、改良には重要な考え方だと言います。

その中で、「インタビュー」は共感し理解するためのシンプルな方法だと紹介しました。インタビューで「共感」を深めるためのコミュニケーションの一つとして、「なぜ〇〇…、なぜ△△…、なぜ□□…」と質問を深めていく簡単なテクニックを紹介しました。会場での来場者との実践では、簡単な質問にもかかわらず来場者のパーソナルな内容まで及び、会場の笑いを誘っていました。

 

2. 定義する(define)

「定義」のフェーズでは、調査やインタビューなどで得た情報を整理し、ユーザーのニーズを定義することを目的とします。Hudetz氏はAirbnbのビジネスモデルを例に挙げ、説明しました。

Airbnbは、「利便さ」「安さ」などだけではない、ホスト、ゲストそれぞれの本来求めるニーズを明確にし、それらをメッセージとして伝え新たな価値として提供した点を、デザイン思考、特に「定義」フェーズの成功例として解説しました。

 

3. アイディアを出す(ideate)

アイディアを生み出す際のテクニックでは、「共感し、そして否定的・消極的な意見を言う(Yes, but…)」「共感し、さらに加えて意見を言う(Yes, and…)」の2つの方法を実践しました。

ネガティブな意見、ポジティブな意見と幅広いアイディアを出すことによって課題解決に最も適したアイディアを見つけることができると言います。

SXSW2018 design thinking2

 

4. プロトタイプを作って試す(prototype)

プロトタイピングは、それまでに頭の中でイメージしていたアイディアを物理的に形にすることで、さらなるアイディアを生み出すことができると、Hudetz氏は言います。プロトタイプはポストイットや、書き消しのできるテーブル、ボードなど実際に手を動かして作り出すことのできるものであれば何でもよく、「すぐに消して書き換えられるものを使うように!」とHudetz氏は言っていました。

これらを実践することで、素早く、また様々な可能性を早期に見つけることができ、また制作チーム、ユーザー、その他関わる人々との間で共通のものとして対話、体験できるツールとして優れています。

 

5. テストする(test)

テストは、ソリューションをよりよく改善していくためのプロセスであり、テストのフィードバックを受けて「共感」「定義」「アイディア」「プロトタイプ」の各プロセスへ戻り、再構築を行います。テストはすべてのプロセスに関わる、他とは少し違うプロセスなのです。それまでに作り上げてきたものが正しいとは限りません。「間違っているかもしれない」という視点でテストをすること、とHudetz氏は言います。

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デザイン思考プロセスを簡潔に解説し、簡単な実践を見せてくれた今回のセッションは、デザイン思考プロセスが、ものづくりだけではなくプロジェクトの進行や組織の課題解決など、あらゆるシーンで活用できると改めて感じました。新しいアイディアや革新的なアウトプット、企業のイノベーションにつながるアプローチだと改めて感じます。

Topics: マーケティング, グローバル, セミナーレポート, ニュース


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