DCDの上平です。「マーケティングの費用対効果」について質問を受ける時があります。これから開始するプロジェクトの費用対効果という点においては、各々のプロジェクトの起案時に、「効果試算は妥当か?」や「そこまでのマーケティング費用投下が必要か?」という観点で精査・判断されていますが、よくご質問を受けるのは、「これまでの施策の費用対効果を分析し、今後の改善策や方針を導き出したい」というケースです。特に、営業や経営企画の方が、本社マーケティング部門を担当される事になって、これまでの活動を検証したいというケースが多いです。
ここでいう「効果とは何か?」というと、売上拡大、経費削減、継続可能な利益拡大、顧客満足度、従業員満足度、等々色々な階層・観点で考えられますが、ジェームズ・レンズコールドさんが書いた「マーケティングROI (2004年 ダイヤモンド社)」という本では、「顧客数の最大化」「顧客生涯価値の最大化」と定義されています。
「マーケティングの費用対効果」は、この「顧客数の最大化」「顧客生涯価値(LTV : Life Time Value)の最大化」に合わせて、「マーケティング費用の最小化」の3つを管理・改善することで、継続的に最大化を目指す事ができる、としています。
そのために、「獲得顧客数」「LTV」「マーケティング費用」を測定し最適化を目指す事が肝要となります。この3つの要素の内、LTVの算出は難しいので、簡易に概算が算出できる方法をご紹介します。
- 目次
LTV概算の算出方法(簡易法)
顧客がもたらした年間利益額(例 2000万円)÷推定年間解約率(例20%)= LTV = 1億円
毎年2000万円利益を上げる顧客が、20%の確率で脱落していく。つまり80%の確率で顧客が残るという事なので、
LTV = 20,000 + (20K x 0.8) + (20K x 0.8 2) + (20K x 0.8 3) + … を求めます。
簡易に概算値を求めるには、方程式にして、
①式 LTV = 20,000 + (20K x 0.8) + (20K x 0.8 2) + (20K x 0.8 3) + …
②式 ①式に0.8掛ける
①式 1 x LTV = 20,000 + (20K x 0.8) + …
②式 0.8 LTV = 20,000 x 0.8 + 以下同じ
①-② 0.2 LTV = 20,000
LTV = 100,000
(*この方法は、一橋大学院藤川佳則准教授に教えて頂きました。藤川先生、ありがとうございました!)
また、現在は当然Webサイトやソーシャルメディアからの顧客化を考慮する必要もあり、費用対効果計測の考え方も複雑になってきています。そんな中、最近アメリカでは、「経営層が見るシンプルな6つのマーケティングROI指標」が注目されていますのでご紹介します。
「経営層が見るシンプルな6つのマーケティングROI指標」
- 顧客獲得コスト
- 顧客獲得コストに占めるマーケティング費の割合
- LTVの顧客獲得コストに対する割合
- 顧客獲得コスト元本回収の期間
- マーケティング活動から生まれた顧客の比率
- マーケティング活動に影響を受けた顧客の比率
見ると当然と感じますが、意外と整理できていなかったポイントでもあります。皆さんのマーケティング企画や活動に何らかお役に立てばうれしいです。
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