【SXSW2018】『Googleの考える対話型の未来とは』セッションレポート

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こんにちは、DCDビジュアルデザイン・チームの後藤です。今回は、 Laura Granka 氏と Hector Ouilhet 氏によって行われた『A Conversational Future: Making Technology Adapt to Us』というデュアルセッションの内容をレポートしたいと思います。二人は共にGoogleで働いています。Granka氏はGoogleのユーザーエクスペリエンス部門で13年間勤めており、その間のデバイスやサービスの変化を見てきたそうです。一方、Ouilhet氏はサーチエンジン部門で10年間勤めてきたそうです。

なぜこれからは会話なのか

二人は、人間とコンピューターのコミュニケーションにとって、音声による会話が今後さらに重要になると考えているそうです。その理由は、人間のコミュニケーションにとって、会話が一番自然なものだからとのことです。普段、人間は会話を通して意思の疎通を行い、新しいことを学び、交渉しています。

Ouilhet 氏はより自然なものがより広がる根拠として、GUIやiPhoneアプリの例を挙げていました。GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)は登場とともに瞬く間に広がりましたが、これは人間がコンピューターを使うにあたって、コマンドラインで命令するよりもGUIの方がより直感的で自然だったからです。同じようにiPhoneアプリも、目的のアイコンをタッチすれば、特定のアプリが起動するという点で、人間の感覚にとって自然なものでした。このように人間とコンピューターのコミュニケーション方法も、より自然なほうに進んでいくはずだとOuilhet氏は考えているそうです。このように考えていくと、人間同士のコミュニケーション方法にとって、もっとも自然な会話が、人間とコンピューターのコミュニケーション方法のスタンダードになることは、自然なことのようです。

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検索は対話?

Googleは検索窓に言葉を打ち込むというサービスからスタートしています。検索エンジンが登場した当初は、カテゴリ検索とワード検索の2つの主流がありましたが、すぐにカテゴリ検索はすたれ、使われるのはワード検索ばかりになりました。調べたいことを打ち込んで、すぐにその結果が返ってくるというのは、つまり欲しいものをボックスに打ち込むだけで、必要なものが手に入れられるという意味で、コンピューターと人との付き合い方においてパラダイムチェンジだったからです。

Googleで検索をすると「0.何秒」というように、検索にかかった時間が書いてあることがわかると思います。Granka 氏によれば、この理由はGoogleが検索を対話と考えているからだそうです。問われたことに答える結果がすべてではなく、結果を返すまでにどれだけの時間がかかったかという経験の部分も、検索によいて重要な要素だとGoogleは考えているそうです。

 

 未来を知る方法

コンピューターによる究極の回答は、未来を伝えることです。しかしながら未来の予想は非常に困難です。Granka 氏は、その理想に近づく方法は、人の意図を予想することだと言います。それを説明するために一つの例が挙げられました。ある人が週末のアクティビティを検索し、検索エンジンは正しいアクティビティの候補を出したが、当日は風が強く、寒かったので、結局、検索した人はアクティビティを実行できなかったとします。この場合、検索する人はあくまで目的があって検索しているのであり、ただ聞かれたことを答えるのではなく、その意図を理解して結果を返すのが、検索エンジンとして正しい答えであると考えられるそうです。そういった意味で、あらゆる人とテクノロジーとのコミュニケーションは対話的であると言えるとのことです。さらには、検索したその人が今何をしているか、あるいはどんな誰が検索しているのか、検索したときの曜日や時間帯には普段何をしているのかがわかれば、より効果的な結果を返すことができるようになります。

 

 多様性への対応

モバイルデバイスはタッチパネルやその可搬性などから、人間とテクノロジーの付き合い方を大きく変えました。これからは人間がどこを歩いていても、何をしていてもテクノロジーとコミュニケーションが取れることが課題だとGranka氏は話していました。そのためには、手を使った操作や場所に縛られない、音声による対話が重要であると考えているそうです。

また、将来的には、この考えを推し進めて、言語や文化の垣根を越えて使えるようにすること、つまり多様性に対応していくことが目標だそうです。そのためにはエスノグラフィー調査が重要になるとのことです。インフラが満足に整っていない地域の人々の間でも、スマートフォンは広く使われているそうですが、その理由はタッチパネルの操作の明快さにあるのでしょう。音声アシスタントであれば、なおさら直感的であり、多様性にも対応しやすくなります。

 

まとめ

個人の好みや曜日などの情報を元にした予想精度の向上については、スマートスピーカーに関するその他のパネルディスカッションなどでも話頭にのぼっていたので、AIアシスタントに関わる人にとっては目下、共通の課題のようです。Google社員の方の考えるビジョンは一貫しており、含蓄あふれるものでした。地球規模、人類史を股にかける壮大なビジョンを聴けたのは、とても貴重な機会でした。

 

Topics: コラム, レポート, グローバル, セミナーレポート


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